読書『ストーリーとしての競争戦略』楠木建 と佐藤の競争戦略
2025.10.17

楠木建さんの話は、YouTubeなどで拝見したことがあったのですが、
改めてちゃんと本を読んでみようと思いました。
仕事を物語(ストーリー)にする、という発想はあったのですが。
それを実際の競争戦略にするには?というところまでは考えていませんでした。
内容としては、他社との差別化が最大の競争戦略ということなのですが、
楠木さんが他の方と違うところは、
「僕は経営全般に関して興味と専門性があるわけではなく、企業の競争戦略にしか興味が無いので、その他は私の興味と研究の対象外です」とはっきり言うところだと思いました。
楠木さんの主義として印象的なのは、
「~とは何か?」ではなくて、「~でないものは何か?」というところから始めるという事です。逆から見ていくことで、改めて表が見えてくる。
たとえば、「自分がやりたいことは何か?」の答えはあいまいで浮かびにくいが、
「自分がやりたくないことは何か?」は、割とはっきりと出てくる。
そうやって、
「これはやりたくない」ことをはっきりさせるうちに、
「これは、他人から見ると面倒だけど、自分にとっては、まったく苦にならない」ということが浮かび上がってくるというわけです。
だから、ストーリーとしての競争戦略は、「だれでも大成功できる」という戦略ではなくて、
ストーリーがしっかりしていれば、大小は関係なく、競争に勝てる、もしくは相手が勝手に競争をやめてしまう。という、
まさに競争に特化した話なんだと理解すると、すごくよくわかります。
特に過去からの確実な積み重ねを続けてきた企業であれば、
その積み重ねの中には、他にまねのできないものがあるはず、
そういうものを、昨今の効率化の風潮に流されずに、磨くことが、
大成功ではなくても負けない、生存競争の生き残りを可能にするという事。
一見、不合理でバカに見えるけど、大きな流れの中で見ると、なるほどね!となる。
この本の中では、それを「バカなる」と表現しています。
競争戦略の内容もそうですが、楠木さんのスタンス自体が、まさに他に真似のできない、
「これ以外はしません」という大きな差別化なのだと思いました。
さて、これを私自身の仕事に置き換えて考えてみたいと思います。
一般的な保険代理店は、契約を取ってなんぼという営業会社的な側面が強いのがスタイルですし、保険会社もそれを求めています。
ただ、私個人の性格は、様々な出来事を通じて解ったのですが、
「守備、防御」が得意な性格だということです。
学生の頃から続けているテニスにおいても、どちらかというとディフェンシブなプレースタイルです。
営業成績のために、自分が納得いかない保険を売るような無責任な攻撃スタイルは大っ嫌いなのです。
そして、ご契約頂いてご縁が出来たとしたら、お客様の事が心配で仕方ないのです。
せっかくご縁が出来た人には、安心して、ニコニコしていてほしいのです。
では、それで会社経営が成り立つのか?
それが・・・・何とか、17年間、成り立っています(笑)
思えばこの17年間、
私は、「防御を最大の攻撃にする」というスタイルを貫いてきたんだと思うのです。
お客様の安心を創る事、お客様の会社のディフェンス力を上げる事。
そして、それを守り続ける事。防御の為の勉強をし続ける事。たくさんの本を読むこと。
そうやって、ずっとやってきました。
新規の営業に飛び回るわけでもなく、お客様から有難いご紹介を頂きながら、
僅かでも一度上がったら下がらない「ジャッキ式経営」を目指して参りました。
これも、楠木さんの言われる「バカなる」なのかもしれません。
そもそも、損害保険は「防御」の要素がつよいのですが、
「守って、守って、守り続けた事」が、結果的に、弊社の生き残る術になったのかもしれません。
これからは、この「守る」を、更に磨き続けて、
飛びぬけすぎて笑われるような防御力を、強みにしていきたいと思います。