読書「ゆるストイック」 ダイヤモンド社
2025.11.14
「ゆるストイック」、という本の題名を今年の初めに聞いた時には、あまり興味が湧かなかったのですが、
作者の佐藤航陽さんが、ゴールドマンサックス出身の田中渓さんと対談しているYouTubeを見て、面白そうだと思って読んでみました。
予想外だったのは、
「ゆるいストイックでいいんじゃない?」という本かと思ったら、全然違ったという事です。
大まかにいうと、
・他人や周囲に対してはゆるく調和して
・自分の目標に対してはとことんストイックにやる
というスタイルの事のようです。
ここ最近の社会風潮として、本屋さんに積まれている本を見ると分かるように、
一時期の「ガンガン意識高い系自己啓発」から、
その疲れの反動で、
「頑張らなくても良いじゃないか」となり、
そうは言っても、頑張んないと食べていけないよね?という反動で、
「自分に必要な事は頑張らなくちゃ」となってきました。
しかし、コロナ後の世の中は、「なんで頑張らないんだ!」という価値感を周囲に押しつけると大きな摩擦がうまれてしまうので、
「自分のやりたい事は頑張るけど、周りとは上手にやる」という
「ゆるストイック」という姿勢が発生したとの事。
端的な例として、
井上尚弥さんや、大谷翔平さんが、
周りには努力を押し付けずに調和をとり、自分の目標に対してはとことんストイックにやっている。というのが、そのスタイルのようです。
ストイックの意味も変わってきており、
近い意味の「努力」にしても、インターネットが普及し、様々なプラットフォームが発生した結果、
ただがむしゃらにやる「努力」の意味は薄れ、努力していない人が大成功することもある世の中になった。
だから、成功するには、ただストイックに努力するだけでなく、
★「まず結果の出やすい、クジを引きやすい場所にいることが一番大事」で、
★「そしてその場所で、とにかく大量にクジを引く事。クジは引くほど当たりの確率が上がる」
それをストイックに行う事。
という世の中になったという事です。
私は、この本に書かれていることすべてが素直に受け入れられる話とは思えなかったのですが、
現実に、確率論としてその考え方は当たっているとも思います。
そして、私は、その確率論を、人とのかかわりの中に見出したいと思いました。
朱に交われば赤くなる、というように、人はやっぱり人に影響を受けるから。
素敵(立派?)な人になりたければ、素敵な人の近くにいて、全てをコピーすることから始まると思うからです。
ただ一方、この本のような、ドラスティックで新しい考え方を取り入れる覚悟も持たなくてはいけないなあ、と。
そう思わせて頂いた本でした。