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義祖父の、読まなかった本

2024.09.17

先日、妻の実家に伺った時に、一冊の本を頂いてきました。

その本は、3年前に亡くなった義祖父のものでした。

書棚にあった、セロファンの封がされたままのその本は、

武田真治さんの「上には上がいる。中には自分しかいない。」(幻冬舎)

大企業で勤め上げ、勉強家で、鎌倉彫の師範でもあり、97歳で亡くなった義祖父。
その書棚におよそ似つかわしくない、武田真治さんの本。

そこに興味が湧いたのです。

 

中身は、著者が悩んでいた時期に出会った名言等や筋トレに関するエッセー集のようなものでした。

・・・・義祖父は、何故この本を注文して、読まなかったんだろう。

タレントとしての武田真治さんの存在は、多分知らなかったと思います。

新聞の書評や広告を見て、書店に電話で注文をする人だったらしいので、

恐らく何かキャッチーな言葉を見つけたのでしょう。

 

頑固で、学があって、自分の価値観がしっかりしている人。という印象を私は持っていました。

 

それでも、その時、何か迷っていたのかもしれない。考えていたのかもしれない。

だからこの本を注文した。

でも、読まなかった、もしくは読めなかった。

 

想像は膨らむばかりですが、初めて義祖父の体温を感じた気がしました。

 

「本棚をみれば、その人がわかる」

美術の本や文学全集が整然と並べられた中にぽつんとあった、読まれなかったこの本。

こんなところに、人間の想いを感じたのでした。

 

 

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