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建設会社の賠償事故5選|利益は積み上げられるが、事故は一瞬で会社を揺るがす

2026.11.04

建設業の社長とお話ししていると、

「人が足りない」 「材料が高い」 「利益が出ない」

という悩みをよく耳にします。

確かに今の建設業界は厳しい環境にあります。

しかし、保険代理店として多くの会社を見てきた私が感じるのは、本当に会社を揺るがすのは人手不足や資材高騰ではなく、

たった一度の賠償事故

だということです。

利益は毎日少しずつ積み上がります。

ところが事故は違います。

何年もかけて積み上げた利益が、一日で吹き飛ぶことがあります。

そして事故を起こした会社の多くが、

「まさかこんなことで」

と言います。

今回は、実際に建設現場で起こった事故をもとに、建設業のリスクについて考えてみたいと思います。


① 重機の油が飛散し、隣家の塀を汚損

ある現場で重機を使用していた際のことです。

重機から飛散した油が風にあおられ、隣接する住宅の塀や外壁に付着してしまいました。

人がケガをしたわけではありません。

建物が壊れたわけでもありません。

しかし、

  • 高圧洗浄
  • 補修作業
  • 塗装工事

などが必要となり、最終的には数百万円規模の賠償となりました。

こうした事故は決して珍しいものではありません。

むしろ建設現場では、「まさかこんなことで」と思うようなことが大きな問題になることがあります。


② 足場材が落下し、新車に接触

次は足場工事に関する事故です。

足場材が落下し、隣家に停まっていた新車に接触してしまいました。

当初は、

「修理代を支払えば済むだろう」

と思われていました。

しかし問題はそこからです。

車の所有者から、

「事故歴が付いたことで車の価値が下がった」

として評価損の請求がありました。

修理代に加えて価値下落分も含めた話になり、交渉は長期化。

最終的には数百万円規模の賠償となりました。

経営者から見れば小さな事故でも、被害者から見れば大切な財産です。

その認識の差が思わぬトラブルにつながることがあります。


③ 漏水事故でテナントから数千万円の請求

私が見てきた中でも特に怖い事故の一つです。

テナントビルの屋上で防水工事をしていた際、職人さんが錆びた水道管を破損させ、階下へ漏水が発生しました。

運悪く、錆びてグラグラになっていた水道管で、職人さんのズボンの裾がわずかに触っただけなのです。

建物そのものの被害は限定的でした。

しかし問題はその下の階でした。

入居していたテナントにまで水が流れ込み、

  • 商品が使えなくなった
  • 店舗が営業できなくなった
  • 内装や設備が損傷した

という被害が発生しました。

さらに休業損害まで加わり、

最終的には数千万円規模の賠償請求に発展しました。

建設業の事故は、壊した物の修理費だけでは終わりません。

その後に発生する損失の方が大きいことが少なくないのです。


④ 水道管を破損し、近隣住宅が断水

掘削工事中に誤って水道管を損傷してしまった事故もありました。

新築中の家の隣家から元請け会社へクレームが入り、「今朝急に家の水が出なくなった!!工事のせいに違いない!!」というのです。

原因がすぐに分からず、打ったばかりの駐車場コンクリートを剥がす騒動になり、調べてみると、やはり地中の配管を傷付けていたことが判明しました。

工事会社としては、

「すぐに修理すれば大丈夫」

と思います。

ところが近隣住宅にとってはそうはいきません。

突然、

  • 水が出ない
  • トイレが使えない
  • お風呂に入れない
  • 洗濯ができない

という状況になってしまいます。

小さなお子様や高齢者がいるご家庭であれば、なおさら大きな問題です。

工事会社は緊急復旧や近隣対応に追われることになりました。

隣家の仮住まいとしてのホテル宿泊費や交通費なども高額になり、施主さんと隣家さんの遺恨も残る可能性があり、取り壊しや別物件を立て直す話にまでなったそうです。元請けさんも大激怒です。

事故そのものよりも、その後の対応の方が大変だったというケースです。

建設業の事故は、設備を壊しただけではなく、人々の日常生活にも大きな影響を与えることがあります。


⑤ 工事後に近隣住宅のひび割れが発覚

最後は工事が終わってから発覚した事故です。

掘削工事や杭工事の後、

近隣住民から

「壁にひびが入った」 「建具の開閉がしにくくなった」

という連絡がありました。

当然ながら原因調査が行われます。

そして工事との因果関係が認められた場合は、

  • 調査費用
  • 補修費用
  • 専門家への依頼費用
  • 住民対応費用

などが発生します。

被害の範囲によっては数千万円規模になることもあります。

工事は終わっていても責任は終わりません。

建設業のリスクは完成後にも続くのです。


本当に怖いのは事故ではなく、その後に起きること

ここまで読んでいただくと分かるように、どの事故も特殊なものではありません。

むしろ真面目に仕事をしている会社で実際に起きている事故ばかりです。

そして私が保険代理店として感じるのは、

事故で一番怖いのは賠償金そのものではない

ということです。

事故 ↓ 元請への報告 ↓ 信用の低下 ↓ 取引先からの評価低下 ↓ 次の仕事への影響

こうした連鎖が、会社の経営を苦しくします。


建設業の賠償責任保険は会社を守るための経営判断

建設業では、

  • 請負業者賠償責任保険
  • 施設賠償責任保険
  • 業務災害保険

などを活用してリスクに備える会社が増えています。

保険は事故を防ぐ商品ではありません。

事故が起きた後も会社を守るための商品です。

利益は一年かけて積み上げることができます。

しかし大きな賠償事故は、その利益を一日で失わせることがあります。

だからこそ経営者には、

「事故を起こさない努力」と同時に、「事故が起きても会社を守れる準備」

が必要なのだと思います。

一度、自社の補償内容が今の事業規模や請負内容に合っているか見直してみてはいかがでしょうか。

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